ALS*(筋萎縮性側索硬化症)とは?
運動ニューロン病の代表的疾患で、体幹や四肢に上位および下位運動ニューロンの混合性障害がみられる進行性の神経変性疾患である。米国の野球選手がALSに罹患したことからルー・ゲーリック病とも呼ばれる。
病状の進行がきわめて速く、発症して3~4年で呼吸筋麻痺に陥り、人工呼吸器の補助を導入しなければ死に至る。
わが国における有病率は人口10万人に2~6人で、発症年齢は50~74歳に高い分布がある。男性対女性比は、1.5(~2.0):1である。
約90~95%は孤発性ALSで、残りが遺伝性である。この遺伝性ALSの20%はSOD遺伝子変異が報告されているが、遺伝的なALS以外の孤発性ALSでは、原因はまだ特定されていない。
現在世界的に承認された薬剤はRiluzoleのみで、病気の進行を抑える効果が確認されている。
(*: ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis)
典型的ALSの臨床像
成人で四肢筋力の低下、筋萎縮と線維束性収縮、深部腱反射亢進があり、きわめて急速に進行する。感覚障害、膀胱・直腸障害、眼球運動障害、褥瘡の4徴候は通常現れない(ALSの4大陰性徴候)。
下位運動ニューロンの障害による主な徴候は、頭頸部・四肢の筋萎縮・筋力低下・線維束性収縮であり、筋萎縮は上肢の遠位筋に現れることが多い。上位運動ニューロンの障害による徴候は、痙縮、腱反射亢進などの錐体路徴候である。また、構音障害・嚥下障害・舌萎縮などの球麻痺の症状が現れる。
ALSの病理
ALS の病理像の中核は Betz 巨細胞を中心とする上位運動ニュ−ロン、延髄舌下神経を含む脳幹部運動神経諸核および脊髄前角細胞を中心とする下位運動ニュ−ロンの変性脱落である。主に脊髄前角細胞内にみられるBunina 小体(図1)や抗ユビキチン抗体に陽性であるLewy小体様封入体(図2)およびskein-like inclusion (図3) は、ALSに特徴的な細胞質内封入体である。

図1:Bunina小体(矢印)

図2:Lewy小体様封入体(矢印)

図3:skein-like inclusion (矢印)
(出所:LTTプログラム委員 佐々木彰一先生ご提供資料)