監修 LTTプログラム委員 佐々木彰一先生
本調査報告の概要
本調査報告は、1998年11月17日にドイツ、ミュンヘンで開催された「国際ALS/MNDシンポジウム」で発表された「ALSの患者さんが初発症状から診断の確定までにたどるプロセスに関する調査結果」です。
最近まで、初発症状から確定診断までの期間が長引いても、治療薬がないためALSの進行にはほとんど影響は与えませんでした。しかし、ALSに対する唯一の治療薬、ローヌ・プーラン ローラー社(現 サノフィ・アベンティス株式会社)のリルゾールは、ALSの18ヵ月生存率を35%増加させることが判明したことから、ALSの確定診断が遅れれば遅れるほど、治療に影響を与えることにもなるので、今回の調査(ローヌ・プーラン ローラーが ISIS Research社に委託)が行われました。
アルゼンチン、ブラジル、ドイツ、イタリア、スペインおよび米国で、過去3年間にALSと診断された患者さんに、医師または患者協会経由で参加を募り、無作為抽出で、性別、年齢、症状、居住地、居住形態の層別に分類しました。
どの医師がいつ診断したか、患者の応答、主症状の発現などを確認するために、共通の調査報告用紙を使用しました。
最近まで、初発症状から確定診断までの期間が長引いても、治療薬がないためALSの進行にはほとんど影響は与えませんでした。しかし、ALSに対する唯一の治療薬、ローヌ・プーラン ローラー社(現 サノフィ・アベンティス株式会社)のリルゾールは、ALSの18ヵ月生存率を35%増加させることが判明したことから、ALSの確定診断が遅れれば遅れるほど、治療に影響を与えることにもなるので、今回の調査(ローヌ・プーラン ローラーが ISIS Research社に委託)が行われました。
アルゼンチン、ブラジル、ドイツ、イタリア、スペインおよび米国で、過去3年間にALSと診断された患者さんに、医師または患者協会経由で参加を募り、無作為抽出で、性別、年齢、症状、居住地、居住形態の層別に分類しました。
どの医師がいつ診断したか、患者の応答、主症状の発現などを確認するために、共通の調査報告用紙を使用しました。
確定診断に至るまでの時間
今回の調査で判明したことは、ALS患者が、最初の症状出現から確定診断までに、非常に長い時間を要していることです。
確定診断に至るまでの時間の平均は、17.7ヵ月という結果が出ています。

これによると、初発症状から4.6ヵ月で最初の医療機関を受診し、神経内科へ最初の受診は初発から10.8ヵ月を要し、さらに、6.9ヵ月で神経内科医による確定診断が行われたということです。
確定診断に至るまでの時間の平均は、17.7ヵ月という結果が出ています。

これによると、初発症状から4.6ヵ月で最初の医療機関を受診し、神経内科へ最初の受診は初発から10.8ヵ月を要し、さらに、6.9ヵ月で神経内科医による確定診断が行われたということです。
初発症状発現から確定診断までに要した時間とその発現症状
全症例の18.4%を占めた球症状から発症した患者さんは、他の症状の患者さんよりも早期に神経内科を受診するようです。
上肢に運動障害のある患者さんは、早期に神経内科を受診し、下肢に障害のある患者さんよりALSの診断を確定するのにあまり時間は要さないようです。
全症例の18.9%の患者さんに線維束性収縮が認められましたが、線維束性収縮はALSのもっとも特徴的な症状の一つであり、患者さんのより早期の確定診断へと導いています。

上肢に運動障害のある患者さんは、早期に神経内科を受診し、下肢に障害のある患者さんよりALSの診断を確定するのにあまり時間は要さないようです。
全症例の18.9%の患者さんに線維束性収縮が認められましたが、線維束性収縮はALSのもっとも特徴的な症状の一つであり、患者さんのより早期の確定診断へと導いています。

ALS患者が最初に紹介された専門医の影響
ほとんどの患者は、症状が出現したら、まず一般医を受診します。さらに、約半分(43%)の患者は、神経専門医以外の専門医を紹介されているのが実情です。
患者が最初に紹介された専門医が、神経内科医であるか否かによって、確定診断までの時間が以下のように、大きく異なります。

患者が最初に紹介された専門医が、神経内科医であるか否かによって、確定診断までの時間が以下のように、大きく異なります。

診断の迅速さを以下の2つに分類しました。
[1]迅速診断……初発症状の出現から診断確定までが14ヵ月未満のもの
[2]遅延診断……初発症状の出現から診断確定までが14ヵ月以上のもの
[1]迅速診断……初発症状の出現から診断確定までが14ヵ月未満のもの
[2]遅延診断……初発症状の出現から診断確定までが14ヵ月以上のもの
調査の背景
リルゾールによる生存率の向上
ALSに対する唯一の治療薬、ローヌ・プーラン ローラー社(現 サノフィ・アベンティス株式会社)のリルゾール(日本で既承認)は、ALSの18ヵ月生存率を35%増加させることが判明しています。ALSの確定診断が遅れれば遅れるほど、治療に影響を与えることにもなるので、今回の調査が行われました。
ALSに対する唯一の治療薬、ローヌ・プーラン ローラー社(現 サノフィ・アベンティス株式会社)のリルゾール(日本で既承認)は、ALSの18ヵ月生存率を35%増加させることが判明しています。ALSの確定診断が遅れれば遅れるほど、治療に影響を与えることにもなるので、今回の調査が行われました。
ALS診断上の課題に対する専門家の見解
「この調査の結果は、専門医が日常の診療の中で何に注意を払っているかを確認するものであり、診断プロセスの改善が、患者に適切なカウンセリングと治療を施すうえで不可欠である。」
「早期診断は、単に、ALSに対する正確なマーカーの有無という問題ではない。これは、診断名が心に浮かんだ場合に限り価値をもってくるものだ。神経専門医に患者を紹介するまでに時間がかかりすぎる。」
「リルゾールが手に入るようになり、また他剤も評価を受けていることから、我々は、ALSを治療可能な疾患にする方向にさらなる一歩を進めたことになる。これらの新しい治療選択肢は、可及的速やかに確定診断を下すことの重要性をさらに高めるものだ。」
アンドリアノ・キオ博士(Dr. Adriano Chio)トリノ大学
「早期診断は、単に、ALSに対する正確なマーカーの有無という問題ではない。これは、診断名が心に浮かんだ場合に限り価値をもってくるものだ。神経専門医に患者を紹介するまでに時間がかかりすぎる。」
アンドリュー・エイゼン博士(Dr. Andrew Eisen)ブリティッシュ・コロンビア大学教授
「リルゾールが手に入るようになり、また他剤も評価を受けていることから、我々は、ALSを治療可能な疾患にする方向にさらなる一歩を進めたことになる。これらの新しい治療選択肢は、可及的速やかに確定診断を下すことの重要性をさらに高めるものだ。」
ディーテル・ポングラッツ教授(Dr. Dieter Pongratz)ミュンヘン大学


