海外ALSケア施設訪問リポート

第8回 -ベルリン-(ドイツ医科大学チャリテ)

ベルリン医科大学(Charité)の設立と概要

■2010年で創立300年

 チャリテ(Charité)と呼ばれるこの大学病院は、ヨーロッパで最も大きな大学病院のひとつである。17の専門治療施設(センター)の下、107のクリニックや研究機関を擁している。1710年にペスト患者のために創設され、300年の歴史がある。創立 300年を記念して 2009年10月より 2011年1月まで、シンポジウムや、学術・芸術プロジェクトなどさまざまな催しが行われることになっている。
 キャンパスはベルリン市内 4ヵ所に分かれ、60万平方メートルを超える敷地に 1万4,500人が就業し、うち医師や研究者は 3,750人、大学教授が 250人、看護師 4,300人、事務職員 750人と大所帯である。医学生や看護学生 7,300人もここで研修している。年間 53万人の外来患者が受診し、3,200床のベッドにのべ 13万人が入院している。

■世界トップレベル

 同大学では国際的にも最高のレベルの研究や治療、医療関係者の育成が行われている。エミール・フォンベーリングやロバート・コッホなどドイツのノーベル医学賞受賞者の半数が、この大学から輩出されており、充実した医師の教育機関としても有名である。2010年には欧州連合(EU)から、同大学の教授 2人に 5億円の研究費が支給されることが決定した。
 併設された研究センターでは、最新医療を実践しているため、ベルリン周辺だけでなくドイツ各地から患者さんが受診するだけでなく、ポーランドやチェコ、ロシアなど近隣諸国からの受診する者もいるという。
 国際的な協力も重視し、日本やアメリカ、中国との共同研究の実施や、毎年世界中の医学生が集まるサマースクールも開催している。

■ALSではドイツ三大病院の一つ

 ALS 患者さんを診療している神経内科は、2002年に南ドイツのウルムから移籍してきたトーマス・マイヤー教授によって一躍有名になった。今では、北ドイツのハノーファー、南のウルムと並んでドイツで三大ALS専門治療施設として知られている。
 神経内科には医師が 6人と看護師が 2人、栄養士が 1人いる。月曜日から金曜日の朝 9時から午後 4時まで受診を受け付けており、週 50人、年間1,000~1,200人の患者さんが受診している。 ALS 患者さんは在宅介護が基本で、通常は 3ヵ月に一度受診する。車椅子ごと乗れる運搬車での移動は健康保険で全額補助されるため、患者さんにとって受診は社会と触れるよい機会である。
 神経内科にはベッドが 28床あるが、 ALS 患者さんの使用は気管切開など手術や検査のための入院程度でせいぜい月に 2回、最大各 5日ほどしかない。在宅が基本である。
医療関係者の写真が飾られた病院の廊下
医療関係者の写真が飾られた病院の廊下
広々とした病院内の廊下
広々とした病院内の廊下
神経内科の医師、テレサ・ホルム氏(左)とアンドレ・マイヤー氏
神経内科の医師、テレサ・ホルム氏(左)とアンドレ・マイヤー氏